頻尿や尿もれを起こすケースは、男性よりも女性の方が多いようですね。
なぜ、女性に頻尿や尿失禁が多く見られるのでしょうか?
ここでは、女性に見られる頻尿と腹圧性尿失禁の原因についてお伝えします。
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女性特有の頻尿の原因
次のような、女性特有の頻尿の原因になりやすいと言われています。
尿道がいわば栓の役割をしているのですが、女性の尿道の長さは約4cm、男性の25cmに比べて極めて短いです。男性には膀胱が尿道と接する部分に前立腺があり、尿道の抵抗が大きいです。そのため、くしゃみや咳をした時に尿が漏れてしまいます。また尿道と肛門が近いことから、尿道や大腸菌などの細菌が侵入しやすいため尿道炎や膀胱炎にかかりやすくなります。
冷え性
女性の平熱が男性に比べて0.3~0.5度ほど低い。また女性の筋肉量も少ないため熱を発生しにくく、脂肪分やカロリーを熱に変換しづらいため冷え症になりやすくなります。
毛細血管が細いため手足の指先まで血が行き渡らず、それが冷え症になるわけですね。
便秘
便秘になると、腸内に滞留している便が膀胱を圧迫してしまいますから、頻尿になりやすくなります。
筋肉が弱い
女性は男性に比べても全体的に身体の筋肉量が少ないです。尿を出したり止めたりする機能を持つ骨盤底筋が弱くなると、尿漏れや頻尿の原因になります。
精神的なストレス
若い女性に多い頻尿としては、神経性頻尿という病名があります。泌尿器系に関しては異常はないのに、精神的なストレスが原因で頻尿になることです。
妊娠
妊娠すると体液が増加するため、腎臓機能が高まってきて尿が排出しやすくなります。また一回り大きくなった子宮が膀胱を圧迫したり、骨盤底筋が緩むことによる腹圧が子宮にかかって頻尿や尿漏れを引き起こしやすくなります。
更年期障害
更年期以降の女性ホルモン・エストロゲンの減少により、膀胱や尿道が萎縮し、頻尿の原因になります。
このように、女性の頻尿は一般的に男性よりも多く引き起こされるのが特徴です。いずれにしろ、トイレに行くのは我慢するのはあまりよくありません。
最近では、女性のための泌尿器科「ウロギネ外来」がありますので、自分で頻尿対策ができないのなら、1度受診するとよいでしょう。
女性に多い腹圧性尿失禁とは?
尿もれや尿失禁は多様な原因によって症状が異なります。ここでは、女性に多い腹圧性尿失禁についてお伝えします。
腹圧性尿失禁とは?
70歳以上の女性で尿失禁を経験された人の約6割がこのタイプです。男性の場合、腹圧性尿失禁はあまり生じないが、前立腺がんや前立腺肥大症などの手術後に生じることもあるようです。
こんな経験はありませんか?
くしゃみや咳をしたり、慌てて走ったり、重い物を持ち上げたり…、自分の意志に関係なく尿がもれてしまった…。
そんな人は、腹圧性尿失禁のタイプと思ってもいいかもしれません。
腹圧性尿失禁の原因は?
このタイプの原因は、4つあります。
妊娠・出産
加齢
肥満
便秘
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妊娠・出産
妊娠によって子宮の形態が変容しますよね?その影響で膀胱や尿道を圧迫したり引っ張ったりすることがあります。妊娠末期に入ると、重量5kgを超える子宮が子宮頸部周囲靭帯や肛門挙筋という筋肉などの骨盤を支える組織へ重量負荷を及ぼし、会陰全体が垂れ下がってしまいます。
初めて出産する人は、分娩では骨盤底筋の強さは妊娠中~産褥期にかけて22~35%も減弱するようです!つまり、妊娠していない人に比べ、分娩した人のほうが腹圧性尿失禁を発症するリスクが3倍あるという研究報告が出ています。
しかも分娩後の骨盤底筋や膀胱、尿道の機能を支配する神経などの損傷や機能低下といった後遺症によっても、尿失禁が生じます。出産経験がある中年以降で肥満気味の女性は、腹圧性尿失禁になりやすいようですよ。
加齢
これは加齢によって全身の筋肉量が低下するため、骨盤底筋の筋力も低下していきます。つまり、骨盤内臓器を支える力が低下するわけですから、膀胱や尿道が下垂することによって尿失禁が生じます。
それだけでなく、更年期において女性ホルモンの分泌が低下することで、骨盤底筋や尿道の組織の弾力が低下し、これも骨盤内臓器を支える力が弱まり、尿失禁が生じます。
肥満
腹部の内臓脂肪が溜まると、脂肪の重みによって骨盤底筋に負荷をかけてしまうことになりますから、骨盤底筋を脆弱化させます。さらに内臓脂肪が膀胱を圧迫し、それが尿を溜まりづらくなるため、頻尿や切迫性尿失禁の原因となることもあります。
便秘
これは脂肪と同じように、腸に溜まった便の重みが骨盤底筋に負荷をかけて骨盤底筋を脆弱化させます。また便が貯留した腸も膀胱を圧迫し、尿を溜まりづらくなります。トイレで便を出す時に過度にいきむことも、骨盤底筋に負荷をかけて脆弱化させることもあるんだとか!
さいごに
以上の原因を挙げましたが、女性の腹圧性尿失禁は身体の構造的な問題であり恥ずかしがることはありません。
骨盤内にある子宮、膀胱、子宮、腸などの骨盤内臓器を支えるハンモックの形を骨盤底筋が上記の4つの原因によって脆弱化し、膀胱を支える力や尿道を収縮させる力が弱まることで腹圧が上昇したときに尿失禁が起こるわけですね。骨盤底筋が脆弱化しているわけですから、骨盤底筋筋群を鍛えることが有効です。症状の程度によりますが、骨盤底筋を強化することで、6~8割の者が改善可能と言われています。
骨盤底筋群の体操は、それほど難しくはありません。コツを挙げるとしたら「オナラが出そうになった時にこらえる」ことです。