高齢者に多い”老人性難聴(感音性難聴)”のこと

高齢者に多い”老人性難聴(感音性難聴)”のこと

みなさん、こんばんは。崖っぷちのOT林です(@tyahan56)

今日は、高齢者に多い老人性難聴についてお話しようと思います。
ある職員さんが高齢者難聴と会話する時の対応が「?」な部分があったので、確認のためにも投稿させて頂きます。
ご参考になれば幸いです。

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3種類の難聴

難聴には、次の3つの難聴があります。

伝音性難聴

外耳と鼓膜及び中耳、つまり音を伝える器官の障害による難聴。
原因:外耳の奇形、真珠腫、中耳炎、耳硬化症、鼓膜穿孔、耳垢栓塞など。
特徴:言葉の明瞭度はよい。治療効果が期待できる。補聴器の効果がよい。

音を聞くための神経には異常がないため、補聴器で音を大きくすればり聞こえるようになります。

感音性難聴

内耳や中枢神経、内耳から脳幹へ走行している神経線維の異常や障害によって起こる難聴。
原因:老人性、音響外傷、先天性、突発性、薬物、メニエール病など。
特徴:言葉の明瞭度が悪い。治療効果は殆んどない。補聴器の効果は低い。

混合性難聴

伝音性難聴と感音性難聴の両方の特徴を併せ持った難聴。中耳炎が悪化して内耳にまで及んだ難聴が代表例である。
老人性難聴は、慢性の中耳炎を患っていると、より進行しやすくなることが知られている。
 

感音性難聴のこと

ちなみに私の場合は感音性難聴で、3歳の時からずっと補聴器を装用しています。
さて、高齢者は、高齢者の3分の2が難聴というデータもありますが、実は、その大半は感音性難聴(老人性難聴)だそうです。

高い音域や子音(カ・サ・タ行など)が聞こえにくく、明瞭に聞き分けられないことが多いです。イメージ的には、タオルやハンカチを口に押し当ててしゃべるような、聞き取りづらい感じに聞こえてくるわけですね。

例えば健康な人がと聞こえるとします。伝音難聴の人は小さく「」と聞こえ、老人性難聴の人は、ちょっと歪んで「」と聞こえる具合ですね。

東京大学の大沼直紀先生による、【難聴の聞こえ】について、非常に分かりやすい説明がありますので、ご紹介したいと思います。

≪難聴の聞こえ(模式図)≫
T A K E S H I T A S A N
た  け   し   た  さ ん

(音が小さくなる)

T A K E S H I T A S A N
た  け   し   た  さ ん

(K、S、T音などが聞き取れない)

T A K E S H I T A S A N
あ  え    い   あ  あ ん

(騒音があるとぼやける)

A   E    I   A    A  N
あ  え    い   あ  あ ん

(反響のある所では音がゆがむ)
A   E    I   A    A  N

(聞こえた音のイメージから類推して判断)

「 あ れ は い か ん 」?

まず「たけしたさん」の音が小さくなる。それだけでなく、「T、K、S」などの子音が欠けて聞き取れなくなり、周りに騒音があると音声がぼやけてしまいます。またエコーが効きすぎて響くマイク音やコンクリートに囲まれた反響のある場所で話しかけられると、もっと音が歪んでしまい意味が分からなくなります。

たけしたさん」が「あれはいかん?」と勝手に聞き誤ってしまうかもしれません。

高齢難聴者が聞き違えやすいのは、「佐藤さん・加藤さん、須藤さま・工藤さま、井田くん・石田くん」などの人の名前、あるいは、「お爺さん・お兄さん」などです。また、「虫・牛・櫛・鮨」などは聞き分けにくい言葉ですから、単語だけでなく文脈の中で意味をとらえられるように話しましょう。
※月刊デイ Vol.134より引用

イメージはなんとなく分かりましたでしょうか?
私のような感音性難聴の人が補聴器を装用して”音”という言葉を聞いたら、どんな風に聞こえるのでしょうか?下の画像をご覧ください。
感音性難聴と補聴器

私の経験でも、よく聞き間違えることがたくさんあります。

・たまご→たばこ
・しちじ(7時)→いちじ(1時)
・きんぴら→チンピラ
・れもん→めろん
など。

私が恥ずかしい思いをしたのは、次の言葉。
林さん、大きな進歩(しんぽ)がしたね!
え?私の○んぽ?!○んぽが大きい?」と聞き返したら、周りの人が大爆笑!いやぁ、あの時はホンマに恥ずかしかったですわ笑

 

老人性難聴

老人性難聴は加齢現象によって引き起こされる感音性難聴

老人性難聴の原因

・蝸牛の変性
・ラセン神経節細胞と血管条の縮小
・有毛細胞の毛の減少
内耳にある蝸牛の機能低下により音が聞こえにくくなり、また中枢神経の機能も落ちるので言葉の判断力も低下します。

老人性難聴の特徴

・徐々に聞こえなくなる(進行性難聴)
・高い音から聞こえなくなり、次第に低い音にも及ぶ(高音損失型難聴)
・音が歪んで聞こえるために、音としては聞こえても言葉としては理解しにくい(感音難聴の特徴)
・小さな音は聞こえないが、ちょっと大きな音はうるさく感じる(リクルートメント現象)
・手術では改善しない(感音難聴の特徴)
・補聴器の効果があまりない(感音難聴の特徴)
・自分の聴覚障害を認めず、コミュニケーション的に孤立していく人が多い(後天性難聴の心理)
・コミュニケーション障害から精神機能が低下していくケースが多い

 

補聴器の必要性な人

補聴器を付ける人々補聴器の必要な人は次の通り。

  • 聞き違いや聞き返しが多く、そのために不便を感じている。
  • 聴力検査では40dB以上の聴力低下がある人。

難聴のまま放置しておくと脳への刺激が減り、言葉を聞き分ける能力が低下します。したがって早期に補聴器を装用することが望ましいです。ご本人が不便さを自覚し、補聴器を使いこなそうとする意欲を持って頂くことが必要です。

老人性難聴のリハビリ

老人性難聴は医学的治療が難しく、補聴器やリハビリの効果は期待できませんが、一番の問題点は耳が聞こえないことよりも、耳が聞こえないために周囲の人とコミュニケーションが取れず、孤立し、精神機能が低下していくことです。そのためには環境調整が大切になってきます。

ちなみに、老人性難聴の人が補聴器を装用して”音”という言葉を聞いたら、どんな風に聞こえるのでしょうか?下の画像をご覧ください。

大きく聞こえるんだけど、歪んだように聞こえることが多いのです。それが老人性難聴です。

次回は、補聴器を付けている高齢難聴者への接し方についてお伝えしようと思います。

 
最後までお読み下さりありがとうございました。
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