サイトアイコン 3流作業療法士×Web ~ワーフライフバランス奮闘記~

認知症に見られるBPSDを減少させるには、パーソンセンタードケアがカギ!

認知症のBPSDへの減少させるカギは、パーソンセンタードケア!

みなさん、こんばんは。崖っぷちのOT林です(@tyahan56)

もう古い資料ですが、前施設長から資料を頂きました。
その資料とは、「MEDICAMENT NEWS」第2090号の「精神症状・行動障害(BPSD)に対する精神科医療」という記事タイトルでした。おそらく医師向けの記事かと思いますが…。

改めて読み直すと、気付くべき点がチラホラありました。

ここでは、参考記事をまとめてみました。特にパーソンセンタードケアとBPSDへの介入についてお伝えします。

 

BPSDの内容と特性

抑うつ、妄想、常同、脱抑制といった精神症状を含めることもある。認知症患者においては判断力の低下したまま自分のニーズを満たそうとしたり、周囲の状況に刺激されて何かしようとする(しばしば善意の)行動がみられ、それが状況に合わないことが多い。

例)
・自分を20歳と思って、「子供にご飯を作らないといけないから帰る」
・仕事をしているつもりで机に椅子を積み上げる

本人と環境とのバランスでもかなり変化する。
2ヶ所のショートスティを利用していて、1ヶ所でだけ怒りっぽいといったことが起こる。これらはケアの対応や環境を整えることで、BPSDは緩和できる可能性を示唆している。

私のコメント:自分を今の年齢よりももっと若い年と答える人が多いですよね。それは当人にとっては最後に残った記憶の時点かもしれません。いわゆる記憶の逆行性喪失という記憶障害の一つかなと思います。

認知症治療の基本方針

認知症を有する人を支援する際の基本原則は、パーソンセンタードケアと呼ばれるケアを通じて認知症高齢者の人生の完成と尊厳を重んじる考え方が最も妥当と考えられている。

パーソンセンタードケア:認知症を持つ人を一人の人として尊重し、その人の立場の気持ちになって考え個人性ケアを行うこと。

本人が嫌がることはしない工夫を考えることも自己決定権の尊重である。

「アルツハイマー病でお風呂に入りたがらない人」に変わったとする。これは個人の歴史が突然失われたことを意味しており、人間にとって極めて侵襲的な事態である。

私のコメント:この人の病気は何々だから、できない、したくないと決め付ける人がいますよね。これでは、その人を尊重したケアとは言いがたい。病気のせいと決め付けるのは早計。気をつけたいと思います。

さきほどの「アルツハイマー病でお風呂に入りたがらない人」の場合はどうすればいいのかというと、「明日、本人が入浴できる方法を考える」ことが、本人の自己決定権を尊重したケアというわけですね。

BPSDへの非薬物介入


特に居住空間の質がBPSDに対して強く影響する。

例)廊下の構造が回廊型の施設ではH型、L型の廊下に比べて見当識障害、構成障害、意欲低下が高頻度となること。

私のコメント:廊下の構造までもがBPSDへの影響を及ぼすことがあると聞いたのですが、どんなタイプの廊下までは分かりませんでした。回廊型ではなく、H型やL型の廊下の方が精神症状を引き起こすことが少ないようですよ。

また、環境的にも大きく関わってくる。

例)薄暗さ、広い空間、尿便臭、台所がない、ホールの汚さなどは易怒性や焦燥と関連することが報告されている。

パーソンセンタードケアを行うことで、精神症状を悪化させずに向精神薬投与を減少させることができたと報告あり。

小規模空間での家庭的個別ケアは、向精神薬処方量とBPSDを共に減少させることが観察されている。

私のコメント:広い空間はかえって精神症状を引き起こすことがあるんですね。開放感あふれる空間が良いとは限らず、むしろ小規模空間(恐らくグループホームのような小規模施設だと思いますが)では、パーソンセンタードケア、つまり個別性ケアを重視しているので、BPSDを緩和できる可能性を潜んでいるんでしょうね。

BPSDへの薬物的介入


向精神薬投与が認知症のBPSDを減少させたとの報告は枚挙に暇がない。しかし認知症高齢者に向精神薬、特に抗精神薬を投与すると、認知機能は鎮静効果で容易に低下し、日中は会話の減少、表情はやや茫乎(ぼうこ)、排泄は自立していた人でも尿失禁が見られやすくなる。

認知機能低下は、少量の抗精神薬(リスペリドン0.5㎎など)の1ヶ月程度の投与でも長谷川式簡易知能検査の点数以下で確認できることがしばしばある。易刺激性などそれまでなかった症状が現れることも多い。
介護スタッフは尿失禁の増えることには敏感だが、口数の減少には鈍感なことが多い。

私のコメント:抗精神薬投与後の変化に気付くことが大切ですね。介護スタッフよりも家族の人の方が変化に気づきやすいので、家族からの話も聴き逃してはいけないと思いました。問題行動が減らなければ、強制的な退所も考えられるって言うけど、結局は病院・施設側の都合によるものが多いんですよね。

認知症患者に向精神薬、特に従来型の抗精神薬(ハロペリドールなど)を用いると、転倒、骨折、歩行障害、パーキンソニズム、誤嚥性肺炎、過鎮静、認知機能低下、QOL悪化といったリスクが有意に増加することは1980年代から指摘されており、これらのリスクは新規の非定型抗精神病薬でも期待されたほど低下していない。

抗精神病薬の長期投与も妥当性に疑問があり、認知症患者に投与中の薬物を減量・中断してみた検討では、症状は不変か有意に改善する例の多いことが強調されている。

死亡リスクは比較的副作用が少ないとされる新規非定型抗精神病薬でも全体で約1.65倍有意に増加し、従来型抗精神病薬ではさらに高い。

2006年には、アルツハイマー病の精神症状に対する非定型抗精神病薬の有効性を検討してきた世界で最も大きなグループは、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンをアルツハイマー病に使用した場合、その有用性は副作用によって相殺されており、いずれもプラセボと比べて有意に優れているとはいえないと結論している。

私のコメント:新薬を投与したからって精神症状やBPSDが減少したとしても、転倒や骨折などの二次的なリスクを伴うことがあるんですね。薬って、まさに諸刃の剣!

最後までお読み下さりありがとうございました。
★ブログランキングに参加中!
 

モバイルバージョンを終了