高齢者の転倒事故の多い季節は春秋の天気の悪い日!?

高齢者の転倒事故の多い季節は春秋の天気の悪い日!?

みなさん、こんばんは。崖っぷちのOT林です(@tyahan56)

ますます寒くなってきましたね。寒気対策は万全でしょうか?
厚労省の調査結果によると、社会福祉施設の労働災害は年々増加傾向にあると報告されているようですね。

労働災害と聞くと、ぱっと思い浮かべるのは腰痛でしょう。どうやら腰痛が転倒に結びつくようです。腰痛もですが、季節別の気温や湿度なども転倒事故に関わっていると研究論文に記載してありました。

ここでは、どのような状況で転倒が起きやすいのかをお伝えします。

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腰痛と転倒の関係

厚労省の調査結果によると、腰痛を主とする「動作の反動・無理な動作」が34%、「転倒」が31%と占めています。

確かに福祉施設では腰痛を訴える利用者が多いですよね。腰痛が引き金となって転倒し、寝たきりになりやすく、QOLも低下させる可能性があります。

転倒事故の発生率と光環境の関係

晴天のイメージ
面白いデータがあります。
日本建築学会が発表した「介護付有料老人ホームにおける転倒事故の発生率と光環境の関係」の文献には、”まとめ”として次のように記載してありました。

介護付き老人ホームの3年間の転倒事故と事故発生日の日照条件との関係を分析した。
1)日照時間との関係は季節により異なるが、日照時間が長いと事故が少ない。2)通年でも季節別でも事故は日照率20%以下で多く 80%以上で少ない。3)日積算日射量が 15MJ/㎡より小さいと多く、大きいと少ない。4)日中に限定すると 3 年とも雲量が小さいと少なく、3~7で多く、8をこえると少ない。
温熱環境との関係は季節により異なり、事故と気候不順や暖冷房使用との関係が示唆された 5)。日照は気温とも関係するが、季節にあまり関係なく日照が少ないと事故が多い傾向が明らかになった。

つまり、日照時間が長いと事故が少ない。逆に日照時間が短いと事故が多い。もっと突っ込むと日照率が20%以下だと事故発生率が高く、日照率80%以上だと事故発生率が低いとされています。

天気の良い日は転倒事故が少なく、悪天候だと転倒事故が起こりやすいわけなんですね!
うむ、パッとしない天気の日に屋外歩行練習を控えたほうがよさそうですね…。

転倒事故の発生率と外気温熱環境の関係

雨天のイメージ
そして、もう一つ面白いデータがあります。外気温熱環境も転倒事故の発生に影響しているようです。
同学会が発表した「介護付有料老人ホームにおける転倒事故の発生率と外気温熱の関係」の文献には、”まとめ”として次のように記載してありました。

介護付き有料老人ホームにおける3年間の転倒事故について、事故発生率と事故発生時の外気温熱環境との関係を分析した。
その結果、1)発生率は気象条件と関係がある。2)転倒事故は、年間を通して高気温で少なく、低気温で多い。夏や冬は気温と関係がなく、春の低温の日に多く秋の低温の日に少ない。3)湿度とは、通年では関係がないが、春は低湿度で多く夏は高湿度で多く秋は低湿度で少ない。4)年間を通して PMV が高いとき少なく、低いとき多い。PMV と事故発生の関係は気温と事故発生の関係に類似、5)気圧と事故発生は関係がない、ことを明らかにした。
転倒事故と外気温熱環境は、冷暖房があまり調整されていないと考えられる春と秋で関係がみられたことから、施設内の冷暖房の調整によって事故を減らせる可能性が示された。

年間を通して高気温だと転倒事故少なく、低気温だと転倒事故が多い。季節別では、夏冬は気温との関係がない、春の低温の日に多く、秋の低温の日に少ないとされています。
湿度に関しては、春は低湿度で事故が多く、秋も低湿度だが少ない、夏は高湿度で多いとのこと。
気圧も転倒要因に関わると思ったのですが、どうやら関係がないようです!
 

さいごに

エアコンのイメージ
文献のまとめに記載してある通り、転倒事故と外気熱環境は、冷暖房があまり調整されていない春と秋において関係があるようなので、施設内の冷暖房の調整で事故を減らせるのでは?と可能性があると示唆されました。

2つの研究結果を考えると、介護施設での転倒事故を減らすためには、春と秋の天気の悪い日には注意したほうがよさそうですね。

最後までお読み下さりありがとうございました。
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