作業療法について
当時、晴れて作業療法士になったばかりの管理人と同期が施設の全職員に対して、「作業療法について」を発表したことがありました。介護・看護スタッフに「PT」と「OT」との違いや作業療法士の役割を説明したような記憶があります。
当時、発表したレジュメが残っていたので、改めて読み直してみました。
ここでは、作業療法士の概要についてまとめてみました。
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作業療法とは
作業療法の「作業」というのは、次の通り。
作業=日々の生活の営み
①日常生活活動:個体の生存に必要な作業活動(キーワード:生きる)
②しごと・しごと的活動:社会的に必要な義務的作業活動(キーワード:働く)
③余暇・遊び・楽しみ・休息:自由な時間における作業活動(キーワード:楽しむ)
①~③のバランスがとれた日常生活=健康な生活
作業療法で用いる「作業」というのは、①~③の作業活動のことをいいます。要するに①~③を自分ひとりで生活できるということですね。
★補足
第2巻 基礎作業学テキストには、このように書かれてあります↓
・活動(activity):能動的に活発に動いたり働いたりすること
・作業活動(activity):作業療法で用いる活動(日常生活活動、仕事・生産的活動、余暇・趣味活動、他)
・作業(occupation):作業活動の総称(作業療法、作業パラダイム、作業分析、作業バランス、作業と健康、作業と生活、他)
・作業の定義:作業とは、生活を構成しているもので、身体と精神を通して、物理的、生理的、心理的、社会的、文化的結果を生み出すこと
作業療法の実施内容
生活を構成しているものは全て作業ですが、何らかの障がい等により作業行為の障害が生じることもがあります。つまり、自分ひとりではできない作業(上述した①~③)があるとなると、いよいよ作業療法士の出番!
例えば、老年期障害分野における作業の援助は主に、以下の3つがあります。
①全身状態の調整
・離床と活動に適した姿勢作り
・活動と休息のリズムの獲得
・対象者が意味の分かる身体活動の実施
②日常生活活動の遂行支援
・残存能力の発揮
・一般用品、福祉用具、自助具の補い
・活動環境の調整
③余暇活動(しごと・たのしみ)の支援
…と至ってシンプルにまとめたレジュメでした。
老年期障害における作業療法
老年期障害分野においての作業療法士アプローチとしての目的は、教科書的には次のように記載されていることが多いと思います。
①身体機能
②ADL
③心理面
④生きがい
⑤社会的側面への働きかけ
当時、新人だった私は経験が浅かったということもあり、①~⑤へと優先順位をつけていたように思います。
でも、現在は③→④→⑤→②→①へと優先を順につけています。
利用者にとって望むべきモノ(その人らしさ)を得られるように常に「工夫」して支援・援助していくことが作業療法士の使命です。利用者の生活に密着し、身体面ではなく心理面や周囲の環境面にも働きかけていくことが大切でしょう。その働きかけをプッシュするには、工夫を常に考えること。
この「工夫」が作業療法士の最大にして最強の強みではないでしょうか?
残り少ない人生を「訓練人生」で終わらせたくありません。利用者の置かれた環境の中で、作業療法士としてできることを最大限に工夫し、その人らしさや存在感を引き出して毎日がドラマで思い出に残る演出を手伝うのが作業療法士の仕事だと思っています。
利用者一人一人の「自分らしい人生」をプロデュースできる作業療法士になりたいモノですね。