こんばんは。
崖っぷちの難聴OTの林です。
最近、割り箸モザイクに取り組む利用者が増えてきました。ひ孫へのプレゼントとして、割り箸モザイクに取り組む利用者もいます。
ひ孫のために作るという目的がハッキリしていますね。目的がハッキリしているから、作業自体に意味があるのだと思います。
ここでは、OTによるアクティビティの目的性についてお伝えします。
アクティビティの目的
アクティビティを行う目的があると、作業自体に意味があるということになります。これは、山根寛先生の言う「目的性」に該当します。
山根寛著ら「ひとと作業・作業活動」によれば、このように記載しています。
目的性:作業は、それ自体が目的を持っているため、行為や動作はその目的に導かれた合目的的行為であり、合目的的動作である。また作業活動は、必ずなんらかの目的を果たすという結果をともなう。
身体リハビリを嫌う利用者がなかにはいると思います。1日中、ベッドで寝て過ごす利用者もいるでしょう。このままでは廃用性の委縮も起こしかねません。
こういうケースの場合は、アクティビティ導入を検討するわけですが、導入の前にアクティビティを取り入れる訳を明確化させることが大切。ただ適当に手作業をするのではなく、「何のために行なうのか?」を利用者に説明した上で了承を得るべきだと思います。
例えば、孫やひ孫がいる利用者Aさんに「可愛い孫(ひ孫)のために作ってあげたらどうでしょうか?」と割り箸モザイク活動を勧めてみることです。
Aさん「そうね、ひ孫は私のことを覚えていないだろうから、ひ孫のために作品を残してあげれば…。」と話して下さいました。
孫のために割り箸モザイクを行なうという作業の意味と目的を持った行為や動作が、機能の回復につなげられると思います。Aさんは左肩痛があり、割り箸モザイク作業中でも左上肢を無意識に使うことがありますが、左肩痛を訴えることもなく作業に集中しています。
作業の目的性により、人は無意識にその作業活動に必要な動作をし、注意力は高められその行為や動作に集中することができるんですね。
山根先生によれば、次のように話しています。
集中することでイメージを働かせたり、思考や感覚、感情のなかにその人を引き込む、それは必要な身体の動きを取り戻すだけでなく、堅くなっていたり、閉ざされていたこころを開くことで、柔軟な思考や感情を蘇らせる働きをする。
つまり、目的性を持たせることで脳の活性化につながることができるんですね。
管理人が学生の頃、実習先で手作業(塗り絵)に取り組む利用者に質問したことがあります。
私「なぜ、この作業をやっているんですか?」
利用者「いや、別に。先生(OT)がやれっていうから。」
OT先生に指示された通りにやっているだけで、自分の意志に従って作業に取り組んでいるわけではなかったのです!
これは酷だと思いました…。だって、明らかに退屈そうな表情で塗り絵をされていました。
したがって、アクティビティを導入するなら、利用者に目的や目標など丁寧に説明すべきだと思います。
アクティビティで人とのつながりを保つ
割り箸モザイクのベテランである片麻痺の男性の話しですが、「障害(片麻痺)があっても上手に作れるとか、何かの目標があるから取り組んでいけるとか、自分の家族に知らせて安心させたい」という言葉がありました。
管理人がアクティビティを導入する時に意識しているのが、次の言葉。
自分の作品を媒体にして、人(家族など)とのつながりを保つ
自分の制作した作品を通して、家族や周囲の人に見せ、人との触れ合いを楽しむ、交流を深める、といった人とのつながりをずっと保つようにと、アクティビティを導入する目的の一つでもあります!
ここ最近、割り箸モザイクやタイルモザイクに取り組む利用者の多くは、「誰々に見せたい」、「誰々にあげたい」、「玄関に飾って訪問者を驚かせたい」とか嬉しい声を聞くことが増えてきました。
最後までお読み下さりありがとうございました。
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