みなさん、こんばんは。崖っぷちのOT林です。
作業療法士だって、理学療法的な訓練を行うことがあります。分かりやすい例が、歩行と階段昇降の訓練。
病院や施設に、必ず設置されてある平行棒。平行棒が置いてあるだけでも、訓練室らしい光景ですよね?平行棒は立ったり座ったりするのに欠かせない訓練用具です。理学療法士の人にとっては、大切な用具だとは思いますが…。
この平行棒内での歩行訓練のことで思い出したのですが、あの時の利用者さん、良い意味で学ばさせていただきました。
ここでは、平行棒内歩行練習を行った時のと取っ付き難い(?)な利用者Cさんのことを紹介したいと思います。
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だったら歩かせるなよ!
ある日、利用者Cさんの平行棒内での歩行評価をしようとしている時のことでした。
利用者Cさんが平行棒の間に車椅子を入れました。いつも機嫌が悪く態度もデカイ方で、怒鳴りつけるような声で…、
Cさん「何やらかすんや?」
私「まずは立ってみてくださいね。」と立位動作を促しました。
Cさん「おい、立ったよ!それで?」
…と手すりを持って、難なく立ち上がりました。
私「今度は歩いてみてください。」
…と優しい笑顔で歩行を促してみました。
Cさんは平行棒の端まで歩き終わると…、
Cさん「おい!歩いたぞ!もういいだろ!?」
私「今度は車椅子の方まで戻ってください。」
…とまたまた優しい笑顔で歩行を促しました。
Cさん「はぁ!?戻るのか?戻るんだったら、いちいち歩かせるなよ!」
…とツバを吐き出すくらい、声を荒げていました。
Cさんのような人、身近にいませんか?
生活行為とリハビリ行為
フロアーでトイレに行くCさんの姿を、後方から観察したら手すりを使って難なく歩いておりました。しかも、不機嫌な様子ではなく穏やかな表情で歩いているではないか!
平行棒内での歩行は、Cさんにとっては受身的に命令されて歩くのが気に食わなかったのかもしれません。
フロアーでの歩行はトイレに行くという目的があるから、目的を達成するために自然とカラダが動くだろうと思います。
フロアーでの生活は、訓練室とは違って生活行為に目的が伴います。目的が伴うから、自発的にカラダが動き、そして表情が穏やかになるのでしょうね。
訓練のプログラムを立てる前に、利用者が自発的に動くような、何かしらの目的を設定した方がいいなとCさんの姿を見て実感しました。