ベッド上ポジショニングへの4つの基本的な介助方法とは?

ベッド上ポジショニングへの4つの基本的な介助方法とは?

みなさん、こんばんは。崖っぷちのOT林です(@tyahan56)

以前、施設内勉強会で「ポジショニング」をテーマに私が発表したことがあります。事前にリサーチしたおかげで知識や技術が増え、介護スタッフやケアマネにポジショニング方法を指導する機会を持てるようになりました。

一度覚えた知識はいずれは錆びてきます。再確認の意味で、ここで、介護で役立つベッド上でのポジショニング方法についてお伝えしようと思います。
※参考資料:おはよう21 2011年7月号PT田中義行著「拘縮予防のための臥床姿勢①~③」。参考になった点をまとめてみました。

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ポジショニングの基本

  • できるだけ腰が反らないように、肩甲骨は外側へ、頚部は軽度屈曲位
  • 頚部、体幹部など、全身のねじれ・傾きをなくす
  • 身体とマットレスの間に隙間を作らない
  • マット・クッションは、やわらかすぎるものを使用しない

 
そもそも拘縮が進行してしまうのは臥床時の姿勢が悪いため、特定部位の筋緊張が亢進している状態にあるからです。ポジショニングを取るにあたって、とにかく筋緊張が亢進しない状態にすることがポイントです。

腰が反らないように肩甲骨は外側へ、頚部は軽度屈曲位


腰を反らないという点は本当に気を付けるべきだと思います。資料には、「骨盤が反れていると、腰部にある呼吸を補助するための筋肉が弛んで働きにくくなるため、呼吸しにくくなり、全身の筋緊張が高まってしまいます」と記載してありました。

 
ポジショニングを取る場合、股・膝関節を軽く屈曲位にして、膝下の隙間を枕などで埋めることがポイント。

頚部、体幹部など全身のねじれ・傾きをなくす


「全身のねじれや傾きをなくす」も見逃してはいけない点だと思います。介護職員は骨盤をニュートラルなポジションに修正せずにそのまま体交用枕を当てていることをチラホラ見かけます。

これだと、体幹のねじれが生じ、違和感や痛みから筋緊張の亢進が引き起こされてしまいます。

ですので、全身のねじれをチェックしてから最適なポジショニングを取ることがポイント。

身体とマットレスの間に隙間を作らない


身体とマットレスの間に隙間を作らない。 これもそうですが、ポジショニングをしたつもりでもよく見ると隙間だらけです。

隙間部分が多いと接触面積が小さく支えている部分に圧が大きくなります。圧迫による痛みが生じ、結果的に筋緊張が亢進してしまうんですね。

身体とマット(ベッド)の隙間を埋めて局所に圧が集中しないようにし、多くの面で支えることがポイントです。

マット・クッションは、やわらかすぎるものを使用しない

「マット・クッションは、やわらかすぎるものを使用しない。」は以前から知っていたのですが、田中先生の資料や文献を読んで、自分の知識不足を改めて思い知らされた記憶があります。

例えば、右横向きで寝る(右側臥位)時に、抗重力筋として右背筋の緊張が高まっていることがあります。

右腹部とマットレスの間にわずかな隙間が生じているので、その場合はロールしたタオルで埋めるといいようです。そうすることで、右背筋の緊張がすぐに低下します。

 

上肢・足関節の対応について

肘が曲がって手がギュッと握っている対象者って多いですよね?従来のケアなら、脇や肘にクッションなどを当てることが多いと思います。

実は、これは田中先生によると「状態は決して改善しない」とのこと。大切なことは、肩甲骨を外側へ引き出し(外転)、下から多くの面を支えることが大切なんですね。

次に、足関節の対応についてですが、これまでは尖足(つま先が伸びた状態)の予防と言う視点から、足関節底屈を極端に避ける傾向がありました。私も足関節を屈曲させるようなポジショニングを取っていました…。

田中先生によると「足関節を屈曲させると、足首前面にあるリンパの流れが悪くなり、浮腫を強くしかねない、また、浮腫ができてしまう」と拘縮も発生しやすくなると話されています。足関節を逆に挙げ過ぎないようにするのがポイント。

側臥位と半側臥位について

側臥位ポジション
側臥位の場合、ポジショニングの基本に従って行なった背臥位の状態をそのまま側臥位にすればいい、とのこと。どうやらポジショニングの基本だけをしっかりと押さえておくことがポイントのようですね。

留意点としては、下側の上肢を軽く前方に出して、体幹に圧迫されないようにすることです。この点は意外と見逃しやすいので、要注意ですね。

一方、上側の上肢の場合は上肢の重みで上部体幹にねじれが起こることもあるので、上側の上肢を下から支えるための抱き枕を用いて隙間を埋めることが重要となります。

下肢の場合ですが、一方の下肢が前方や後方に出ていると骨盤がねじれしまうこともあります。よく現場でも、下肢をずらすようなポジショニングが見られますが、実は、これが骨盤のねじれが発生する原因となります!両下肢のポジショニングを行なう場合は、両下肢の肢位が同じ位置で下肢の間にクッションを入れ、上側の下肢の支えを多くの面でしっかり支えることが重要です。

ポジショニングを行う際に、何から始めたらいいのか?迷いませんか?特に新人さんは困りますよね。
そんな時は「さしすせそ」でポジショニングを行うといいと思いますよ↓

まとめ

ポジショニングの基本は以下の4つ。

  • できるだけ腰が反らないように、肩甲骨は外側へ、頚部は軽度屈曲位
  • 頚部、体幹部など、全身のねじれ・傾きをなくす
  • 身体とマットレスの間に隙間を作らない
  • マット・クッションは、やわらかすぎるものを使用しない

 
基本のうち、どれか1つでも対応が怠ると、筋緊張亢進や褥瘡など皮膚トラブルを起こす要因となります。
改めて4つの基本を頭に入れながら、適切なポジショニング介助を行いましょう!

これまでに勉強したことを実践し、このポジショニングで筋緊張が緩んでいるかどうかを確認していこうと思います。


最後までお読み下さりありがとうございました。
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