認知症ケアにおけるコミュニケーションのコツ①自分の態勢を整える

認知症ケアにおけるコミュニケーションのコツ①自分の態勢を整える

みなさん、こんばんは。崖っぷちのOT林です(@tyahan56)

12月10日は認知症ライフパートナーの試験日ですね!さぞかし多くの方が勉強されていることと思います。以前、管理人も試験を受け、2級(旧応用)&3級(旧基礎)とも合格しました。

公式テキストに記載している「認知症ケアにおけるコミュニケーションの7つのコツ」は大変参考になったのを記憶しています。あれから4年経つので、この7つのコツをもう一度再読してみました。現場でコミュニケーションの際に7つのコツを思い出して頂ければ幸いです。

ここでは、認知症ケアにおけるコミュニケーションの7つのうち1番目である自分の態勢を整えるについてお伝えします。
※公式テキスト認知症ライフパートナーを参照。

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認知症ケアにおけるコミュニケーションの7つのコツ

言葉そのものの障害だけなく、人とコミュニケーションを取るための基本的な方法が崩れてしまいます。そのため、コミュニケーションの機能や心理的状況に対する配慮が必要になります。

話をする時に目が合わない
状況に応じた話ができない
同じことを何度も繰り返す
辻褄の合わないことを言う

これらの状況の中で戸惑っているのは、いうまでもなく認知症の人自身です。

そんな認知症の人へのケアには、以下の7つのコツがあります。

①自分の態勢を「整える」
②治療・援助者が希望を持ち「まなざす」
③希望というまなざしを向けて「共にある」
④対象者の心の開きを「待つ」
⑤対象者の生活機能とその思いを「知る」
⑥その思いを言葉に頼ることなく「伝える」
⑦正しく伝えるために言葉で「話す」

 
以上の7つが認知症ケアにおけるコミュニケーションのコツです。

今回は、①自分の態勢を「整える」のことを説明します。

 

自分の態勢を「整える」

「整える」って、スタッフの身なりを整えるのは当然ですが、意外と気づきにくい重要な要素が含まれています。利用者や認知症の方と接する際に安心できる関係を築くには、まず職員側が「整える」ことが重要になってきます。

「整える」には、以下の3つの態勢があります。

①心理的態勢
②物理的態勢
③身体的態勢

これらの3つの態勢を職員自身が整えることが大切なわけです。

心理的態勢

瞑想にふける女性
自分の意識や注意、関心を相手に向け、取り組む気持ちを持つという態勢です。要は、自分が相手に抱いている感情を自己認識しましょうということです。

自分は対象者をどのように思っているのか?
どんなケアをしようか?

職員がプロ意識を持って、何を優先にケアをすればいいのかを深く考えていくことが大切かなと思います。

苦手な相手がいて「アカンわ~。この人のケアしたくないわぁ!」と心の内でつぶやいたら、態度がきっと相手に伝わってしまうと思います。

話し手は優しい口調で話しかけているつもりだろうけど、無愛想な表情だったら?
聞き手側は無愛想な表情の与える印象が残り、話の内容が耳に入ってこないかもしれません。まさにメラビアンの法則のいう【見た目>話の内容】で相手を判断しているのです!
※メラビアンの法則については次の記事を参照してください。

作業療法士の転職面接で成功するカギは、コミュニケーション能力?

認知症の人が記憶障害が著明でも、快・不快に関係がある感情の記憶は残っているので、自分にとって嫌な対応をされたり、何の根拠もなく怒られたりなど、不快や怒りという感情が出た場合、その理由は忘れてしまっても、嫌な人は嫌な人!というイメージが残るわけです。

小さな子供だって不快な思いをされたら、その人を避けるでしょう。人間誰でも自身を守っていくためには、「感情の記憶」に頼って判断すると思いますから。心理的態勢を取るか取らないかで、相手との安心できる関係が変わってくるだろうと思います。

物理的態勢

介護者と高齢者
言葉を交わしたりアクティビティを共に行なったりする時の、お互いの距離や向きや位置などを言います。

テーブルを囲んで互いに向かい合う位置は、常に相手が視野に入り視線が合い、フォーマルな関係に向いているとされています。

一方で、90°からやや斜めの位置は、相手は視野の一部に入っているが視線を合わなくてもよく、必要な時に視線を向けられるため対面より緊張感が少なく自然な感じで話したり関わったりすることができます。

また視線は同じ高さになるようにすることが大切ですね。互いの距離は、双方の心理的な距離に影響を与えることがあります。

公式テキストに書いてありませんが、社会心理学的によく使われるパーソナルスペースを上手に活用するといいかも?パーソナルスペースとは、相手とコミュニケーションを取る時に相手側が自分に近づくことを許せる、自分の周囲の空間を指します。

4つの距離帯があるのですが、アクティビティを行う時の距離感は、「密接距離(0~45cm)」に該当すると思います。アクティビティは作品を媒体にするので、侵襲性がとても少なく対人的な緊張も緩和できるでしょう。

余談ですが、メンタリストDaiGoさんの書籍「一瞬でYESを引き出す心理作戦」という書籍に、「相手との物理的な距離とは、イコール、相手との心の距離」と述べています。一歩下がらないまでも、こちらが近づいた瞬間に体の重心が背中側に移ってしまうのは警戒心を抱いている証拠なんだそうです。

コミュニケーションやアクティビティの際に、相手の出方を観察してみてください。

  • 向こうから近づいてくる人か?
  • 一定の距離を保とうとする人か?
  • 後ろに下がって警戒心を抱く人か?

 
互いの物理的な距離間が、心の距離を確認できるということです。ちなみに管理人は、割り箸モザイクを指導する時に思い切って近づくようにしています。

パーソナルスペースを意識して相手と接することも認知症ケアにおいてコミュニケーションを築く一つの方法といえるかもしれません。

身体的態勢

健康的な男性のイメージ
これはケアする者の身体状態をコミュニケーションが可能な状態にすることです。テキストには、「身体的言葉に不調な時には、関わること自体が相手に余分な気遣いをさせることになります。ケアする者の無理は、対象者にさまざまな反応を引き起こすことがあります。」と記載してありました。

要はスタッフ自身が風邪を引いたり腰を痛めたりしながら無理にケアをしていると、相手に変な気遣いを与えちゃうよ!ということでしょうか。身体が本調子ではないスタッフに介助・援助されると、相手は不安が募ってくると思います。

腰痛持ちのスッタフに抱えてもらうと、ギックリ腰で落とされたら嫌ですよね?笑。
身体を日頃からしっかり管理し万全の態勢でコミュニケーションを取っていくことが大切です。

次回は、「認知症ケアにおけるコミュニケーション2番目のまなざす」の話に触れます。
 
最後までお読み下さりありがとうございました。
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