高齢者におけるボルグスケールって?
パワーリハビリテーションをご存知でしょうか?
これは「マシントレーニング」や「各種体操(バランスの練習など)」により、身体の筋肉や関節を動かしやすくすることをいいます。
あらゆる動作に対し自信が持てるようになり、ADLやIADLの活発化を図ることで体力も向上します。
このように身体・精神両面において、活動性の向上を図るのがパワーリハビリテーションです。
マシーンを使ったことがない高齢者が多く、それにマシーンを前にすると抵抗感を抱く人もいらっしゃいます。初心者がマシーンをトライしたら、「キツイわいッ!」と声を上げる人も何人かはいました。
でも、この「キツイわいッ!」という一言が大切な目安となります。
ここでは、高齢者におけるボルグスケールの使い方と良い・悪い痛みの判断についてお伝えします。
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Borgスケールを参考に運動量を調整
個人に合った適度な運動をするためには、自分自身での感じ方というのが非常に有用な目安となります。
その目安が、リハビリでも用いられているBorgスケール(指数)という運動強度の指標です。
例えば運動を行った後に、Borgスケールを見せて、「どのくらいきつかったのか?」を答えていただき、これを参考にして次回の運動量のメニューを調整していきます。
Borgスケールのこと
安静時を6とし、最大疲労時を20とした15段階スケールで、自覚的運動強度を示したものをいいます。
このスケールは6点~20点まであるのですが、なぜ6から始めるのか?
それは6点を10倍したものが心拍数に近似する、つまり成人1分間に60回の心拍数となるわけです。6~20というのは、成人の心拍数を60~200/分としているわけですね。11段階目であれば、心拍数では110/分を示すことになります。
このスケールは、大まかな目安として下記のように並べています。
高齢者の方々に解り易く答えてもらうために、数字ではなくイラストで症状を応えていただいた方が良いですね。
私たちセラピストは、高齢者が運動した後の筋肉痛がヒドくならないようにBorgスケールを参考にして運動量を調整しています。(マッチョを目指している高齢者なら別ですが…)
マシーンやバランス体操を終えた後、Borgスケールでの9~13の範囲内であれば適度な運動強度とみなしています。
もし筋肉痛との壮絶なる戦いがしたいのであれば、運動強度の指標は15以降がいいかもしれません。
私はどういうわけか筋肉痛が好きなので、筋トレやる時は15以上の負荷量に設定しています。
良い痛みと悪い痛みの基準
腰や膝の痛みを訴える利用者が多いですよね。
痛みの程度によって安静が必要だったりしますが、自制内であれば適度な運動を行うことによって痛みを緩和させることも可能です。
例えば、高齢者に多い膝痛は膝周囲の筋肉強化とストレッチによって痛みが緩和する場合があります。
痛みには3つのタイプがある!
急性と慢性の痛みがありますが、急性であれば、RICE療法が大切。
I(Icing):冷却
C(Compression):圧迫
E(Elevation):挙上
ちなみに亜急性の痛みの場合はどうなのか?
それは運動量をコントロールしながら痛みが出ないような運動を続けることです。
急性と亜急性の痛み以外だったら、それは慢性の痛みということになります。
※亜急性の痛み:急性の痛みではないけど、いったん痛みが出ると元の状態に戻るのに時間がかかる場合。
運動をしても良い痛い?そうでない痛み?
運動していたら、どこかが痛みが出るかもしれません。痛みが生じた場合、どこまで運動したら良いのか判断が迷いますよね?
どんな時は、下記の状況を判断するといいでしょう。
例)ウォーキングを始めてから20分で膝が痛む。
T2:痛みの出る動作を続けられる時間(分)
例)ウォーキング中、膝が痛くても10分は歩ける。
T3:痛みが緩和する努力をしてから痛みが消失するまでの時間(分)
例)10分休むと痛みが消える。
判断基準は次の通り。
T1とT2が0分ではなく、T3が30分以上の場合、急性の痛みではないけど、運動量のコントロールが必要。
T1とT2が0分ではなく、T3が30分以下の場合、慢性の痛み。運動を軽負荷から始める。
痛みと関節可動域
ある運動が痛みを引き起こすかどうかを判定するのに、運動の前後で関節可動域がどう変わったかを見ます。
例えば、肩関節を動かした時に痛みが始まる角度を確認するとします。
運動前の肩関節屈曲時に痛みが始まる角度が90度だった場合。
もし運動後の肩関節屈曲角度が45度だった場合、明らかに運動前よりも狭小しているので過度な運動となります。
・運動後に、痛みが始まる角度が↑または±であれば、その運動を行ってもOK!
運動後の肩関節屈曲角度が145度だった場合、明らかに運動前よりも拡大しているので適した運動となります。
これなら関節角度が目に見えて分かるので、対象者に説明しやすいですね。