「昔取った杵柄」が個性を引き出す!
みなさん、こんばんは。崖っぷちのOT林です(@tyahan56)
老人ホームに入居・入所されている方は、何が一番楽しみだと思いますか?一人ずつ尋ねないと、何が楽しみなのか確認できないと思います。
で、数名の対象者に尋ねたら…、
「食事かな?食べることしか楽しみがない。」
「楽しみなんてないよ。」
「ずっと暇。テレビが友達。」
…と返答される人が多い印象でした。
少しでも施設生活を楽しく過ごせるようにとアプローチしたいものですよね。
ここでは、「昔取った杵柄」が個性を引き出すにはどうしたらいいのか?をお伝えします。
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「昔取った杵柄」が個性を引き出す
余暇活動の充実を図るためにアクティビティを提供するのは作業療法士の仕事だと思いますが、介護職員もその一人です。確かに対象者自身が楽しめるようなアクティビティを見つけるのは困難だと思います。でも最初から自らアクティビティに取り組まない対象者に対し、職員側の判断でアクティビティを提供するのは、悪い意味で言うと対象者に押し付けている感があるかなと思ったりします。
そこで大切なことは、対象者自身の生活歴などカルテから情報を収集し、施設での主体的な時間を過ごしてくれる手掛かりとなるようなことを探すことです。なければ、ご家族様からの情報を得ることも判断材料の一つになるはずです。例えば、趣味の欄に「編み物」「裁縫」と記載してあったら、まずはそれを提供します。
昔取った杵柄を生かすことで、対象者が自分の得意だったことに再び出会い、施設での楽しみの時間が持てるようになります。自分だけの時間を十分に楽しむことで、自分が必要とされているという思いが情緒の安定や精神的な自立につながるのではないかと思います。
なかには「いやー、眼がね、見えづらいからできないよ」と消極的なアクションを示す人がいるけど、メガネをかけてもらうとか、やりやすいように環境設定すればいいわけです。
世界作業療法士連盟(WFOT)の定義には、このように書かれてあります。
作業療法とは作業を通して健康と幸福な生活の推進にかかわる職業である。作業療法の主目標は人々が日々の生活の営みに参加できるようにすることである。作業療法士はこうした成果を達成するために人々が自らの参加能力の向上をもたらすような事柄に取り組めるようにしたり、参加をよりよく支援するための環境整備を行ったりする。
気づきました?「参加をよりよく支援するための環境整備を行ったりする」と記載してあります。だから環境コントロールするのも作業療法士の役割です。
それに過去に慣れ親しんだ仕事や趣味は暫くのブランクがあっても基本的なコツは覚えているはずです。やってみないと分かりませんから。
たとえ手先が不器用でも問題ありません。自分の意思で取り組むかどうかが問題です。自発的にアクティビティを取り組めば、余暇活動の充実だけでなく脳の活性化にもつながると思います。
食堂でただじっとしている利用者って、結構見かけませんか?時間の流れに身を任してしまっている利用者に、何かのアクティビティを提供すべきではないでしょうか?編み物が趣味だったら、編み物セットを渡して自分でできるはず…。囲碁や将棋が好きだったら、卓上ゲームを渡して利用者同士で楽しんでいただくこともできるはず…。
生きる喜びにつなげる手掛かりは、きっとどこかにあると思います。利用者に関する情報をリサーチして、抜かりなく情報を収集する姿勢を持つことが大切ですね^^